ホーム > トピックス > キッズクリエイティブ研究所 in 東大本郷
10月21日の爽やかな秋の午後、東京大学本郷キャンパスの中にある東京大学情報学環福武ホールの福武ラーニングスタジオで、こどものためのワークショップ「キッズクリエイティブ研究所」が開催されました。NPO法人CANVASが運営しているもので、1年間テーマを変えて本郷キャンパスで毎月開いています。
今月のテーマは電子工作です。伊藤先生とCANVASスタッフそしてボランティアの方々と一緒に、「フシギなパラパラ影絵箱」を作ります。10時から11時30分と13時から14時30分までは幼児クラスですが、取材は15時30分から17時までの小学生クラスを行いました。1時間半という限られた時間の中で、どの子も一生懸命作業に取組み、ボランティアの方々の助けもあって、全員パラパラ影絵箱を完成させました。後の席で自分のこどもはうまく作れるのかな、とハラハラしながら見ていた保護者の皆さんも、最後の試写会では大変満足したご様子でした。

スタジオはガラス張りで、向こう側がスタジオです。中にいるこども達を保護者の方はスタジオの外からも見ることが出来ます。奥の受付を済ませて、さぁ中に入りましょう。
本日の工作作業指導を行う、伊藤尚未(なおみ)先生です。いつも笑みを絶やさず、やさしい語り口でこどもの気持ちを引きつけます。電子工作を普及させるために本も沢山書かれていますが、ご本人は現代美術作家でメディアアーティストが本業です。
最初は全員が集まって、今日の作業について説明を受けます。作り方をただ教えるのではなく、なぜ絵が動いて見えるのかについて、どんぐり人形を使ってこども達に考えさせながら、理解させていきます。
いよいよ作業開始です。こども達は3つの班に分かれ、大きなテーブルの席に座りました。机の上には広げられた厚紙や電池、電子基板などが置かれています。何をどうすれば良いのかな?
先生が紙の折り方を説明し、こども達も立体の形に折りはじめます。先ずは外箱の制作です。悩んでいるこどもにはボランティアのお姉さんがサポートします。余り教えすぎず、こども自信が考えて解決するようにします。
外箱の次は中箱の制作です。ここに電池や電子基板、透明シートを取り付ける重要な箱です。外箱と違って形が複雑です。切り抜いたり曲げたりして、うーん、うまくできたかのかなぁ。。。
3本の電池を電池ボックスに取り付けます。プラスとマイナスを逆にしないように気をつけます。電池ボックスと電子基板もつなぎましょう。電子基板に2つのLEDが付いています。パラパラ影絵箱の一番大事なところです。
電池と電子基板を箱に取り付けます。取り付ける場所に両面テープが貼られているので、そこへ付けます。全体の形が出来あがりはじめると、絵を映してみたくなりますね。はやる気持ちを押さえて、丁寧に仕上げましょう。
全員箱が出来上がったので、前半の作業が終了し休憩時間になりました。こども達全員集まってストレッチ運動です。両手を上げて背筋を伸ばして、左右に倒して、深呼吸!
こども達が体操や休憩をしている間にボランティアの方々は机の片付けや後半の準備に取りかかります。終了時間が決まっているため、無駄に時間を使えません。テキパキと作業を進めます。
さぁ、リフレッシュしたので、後半の作業に入ります。前半は影絵箱というハードウェアを作成しました。これから何を映すかというソフトウェアを作成します、と伊藤先生の説明が始まりました。
早速スマホを取り出して、お気に入りの画像を表示させ、それを紙に書き写す、というデジタル少年がいました。ちょっと私もビックリです。さすが現代はスマホの時代だ!
絵を描きながら、頭の中はお花畑に行ったり、宇宙旅行に行ったりしています。次から次へとアイデアが広がって熱中しています。右と左に2つの絵を描いて、早く動かすと動きのある絵になります。
紙に原画を描いたら、その上に透明シートを載せて上からなぞり、色を付けて透明シートを完成させます。2つのLEDが交互に点滅し、透明シートに描かれている2つの絵を交互に映し出します。
出来上がった透明シートを箱に取り付けて完成です。さあどんな風に映るのかなぁ。早くLEDのスイッチを入れて見てみたいなぁ。
最後に外箱に絵を描いたり、色を付けて、自分だけのオリジナル影絵箱の完成です。一生の宝物になりますよ。
みんな集まって完成試写会の時間です。全員が出来上がったばかりのパラパラ影絵箱をテーブルの上に並べました。果たしてどんな絵が映るのやら。皆さん期待で胸がわくわくです。
部屋の照明を落として全ての影絵箱のスイッチを入れました。28個のパラパラ影絵箱がそれぞれ2つの絵を交互に表示して壮観です。こども達から、「わーすごい」という歓声が上がりました。
保護者の方も集まってきて、「全部並べると幻想的でとてもきれいですね」と感心。でもやっぱりお子さんの作品が一番きれいに出来ているようですね。
終了後、こども達は自分の作品を持って、親御さんと一緒に帰宅の途につきました。
責任者のNPO法人CANVASの熊井晃史ディレクターです。事務局として、CANVASの運営を支えています。キッズクリエイティブ研究所は6年ほど前から開催しています。東大などを舞台に、「地域が遊びと学びの場を提供する活動」を推進しています。熊井さんは「こどもの頃に作った竹とんぼと同じような感動を今のこども達にも新しい形で伝えたい!」とおっしゃっていました。

今回取材したNPO法人CANVASが開催するキッズクリエイティブ研究所は3つの方針で活動しています。1つ目は「こどもの様々なジャンルでの可能性を育みたい」と毎月テーマを変えて開催しています。2つ目は「地域社会の教育力向上」です。大学を地域のこども達に活用しようと、東京大学のキャンパス内の施設を利用しています。3つ目は「学び合いの環境づくり」ということで、親子の生涯学習として取り組んでいます。
なお、今回の「フシギなパラパラ影絵箱」は誠文堂新光社から発行されている「子供の科学」という雑誌の2012年2月号に伊藤先生の執筆で掲載されています。
CANVAS:http://www.canvas.ws
(文・写真:川村正夫)
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