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三島風穴の補強工事後の入洞調査報告(2)

3 今後への要望と提案事項
 道路補強工事により一部埋められたとはいえ、三島風穴は約一万四千年前に形成された三島溶岩流の中に形成された溶岩洞窟で駒門風穴などとともに一万年前の空間と環境と熔岩造形物が現在も維持され、その中に容易にタイムスリップできる日本の貴重な自然遺産である。その保存維持啓蒙のために今後への要望と提案を以下にまとめた。

1)早稲田支洞が孤立状態となっているために早稲田支洞へのルートを開くことが望まれる。早稲田支洞には溶岩棚、溶岩石筍など貴重な内部構造物が存在し、早稲田支洞へのアクセス性の確保は貴役所への要望書において要請を行ってきた。洞窟に影響を与えずに入口をあけるには、洞口(井戸)の歩道側にあける方法が良いと思われるが、早稲田支洞の位置を詳細に測量していないので、地上から機器を使い洞窟の空洞を確認する必要がある。至急検討が必要である。

2)駐輪場側の独立した空間に存在するAタイプの溶岩棚へのアクセス性確保のため、地上からの入口を、裾野市役所地下にある洞窟と同様に、残された洞窟にさらに入口をつける必要がある。適切なアクセス用の開口部の検討が必要である。

3)洞内表面に析出した緑色の鉱物の調査を行うために専門家の入洞調査が必要である。

4)水流によりモルタルが溶け出し鍾乳石のようになっているのが観察されているので、洞窟内の工事影響による時間的な変化(経年変化)を見るため、定期的に入洞調査を今後も引き続いて行う必要がある。

5)火山洞窟学的に見て貴重な自然造形物遺産(溶岩棚、析出鉱物、ワラビ状溶岩鍾乳、溶岩石筍、階層洞窟部分)を含むので、都市部のアクセスに便利な場所というメリットと道路直下にあるというデメリットのバランスを考慮して今後大切に保存してほしい。その貴重な自然遺産としての啓蒙のための一般公開なども検討してほしい。火山洞窟学会としてはそれに対しての出来うる協力をおしまない。  

【写真 プレート8】 三島駅新幹線ホームから見た 左側の富士山と右側手前に三島風穴のあるミニ公園
洞口
洞口井戸
洞口井戸下から見上げる
【写真 プレート9】 洞窟井戸の底より歩道側を見る
主洞から洞口井戸を見る
この情報は、「NPO法人 火山洞窟学会」により登録されました
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