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「耐震補強の現状を知る」東大地震研見学&セミナー

■日時  2008年9月13日(土) 10時〜13時
■場所  見学と講義:東京大学地震研究所1号館、セミナー:アカデミー向丘実習室
■実施主体 ぱぱっと会議@元町公園、NPO法人市民科学研究室、文京の文化環境を活かす会、駒込大観音ほおずき千成市実行委員会、東大地震研地震予知情報センターアウトリーチ推進室
■参加者 25名
■内容  1.地震大国日本の実態を知る 2.地震予知研究の現状 3.災害の軽減 4.地域の取り組み
 
 この30年間に世界で起きた有感地震26000回のうちの10%が、面積わずか3%の日本で起きているという。実はこの日(9月13日)は東京に大地震が発生すると予言されていた日だった。もちろん地震は起きなかったが、日にちを指定した予言は予知とは全く別もので、いい加減なもの。予知とは、起きていない状態から発生の直前を予測するものではなく、起きていないときの現象の物理を含め、発生に到る現象全体を解明し、予測するものである。また、緊急地震速報は予知ではなく、すでに起きている地震のP波からS波を予測するものである。どちらも危機に備えるためには役立つ。
 日本で予知が可能な地震は、今のところプレート境界型の東海沖地震のみで、30年以内に87%という高い発生確率が予測されている。周期が数千年〜数万年という直下型地震などは、まず来ないと思われがちだが、予測が難しく、またひとたび起きると被害も大きいため、発生確率が少なく見積もられていたとしても大いに備える必要がある。ハザードステーションのサイト(http://www.j-shis.bosai.go.jp/)参照。
 災害は地震そのものの強さと社会の脆弱性が相まってもたらされる。敵=地震の正体を知り、強い建物、強い社会をつくることが大切である。破壊実験室では、2/3縮尺の柱や壁、鉄筋などに対する加圧耐震強度実験の結果を見たが、天井には耐震基準は設定されていないということで、1フロアーだけでも柱や壁の下部はグシャグシャに崩れた状態だった。現代の超高層ビルでどのような災害が起こるか、きちんと予測をたてて都市計画をする必要を痛感した。木造密集地区など地域の防災には課題が多いが、今後も愛着のある町をどう守ったらよいか、みんなで継続的に研究していくことになった。
  

 
   

講師はアウトリーチ推進室の大木聖子助教。学問的成果を市民生活に役立てるよう広報するのがお仕事だそうです。
免震構造の1号館の地下では、柱の下に厚さ50センチくらいのゴムを入れて揺れを吸収する装置が見られます。
RC構造の破壊実験装置。柱には鉄筋が密に入っていますが、それでも下部は傾いています。
耐震補強の2号館。地震により建物が倒壊するときは、必ず斜め45度に交差してひびが入るそうです。建物の外側から筋交いに補強しています。
地域の防災取り組みの事例発表。千駄木地区の町内会の話は、最後は人の力とバケツとリヤカー1台だけ、という笑えないけど笑っちゃう話でした。
この情報は、「文京の文化環境を活かす会」により登録されました
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